それがわたしの鍛錬

 通用口を出ると世界はぐるりと球体で、高台のひらけた景色はここが地球の中心だって言わんばかりに風が吹きわたる。ブルーグレーの空には鼠に暮れた鰯雲の名残がずっと西のほうまで続いてて、尻尾のあたりだけ夕暮れに赤く焼けてた。
 だけどどんなにきれいな景色でも、流行りの写真なんて撮らないで、ひとりぼっちの心で胸にしまっておこうと思う。それがわたしの鍛錬。

まわるまわる

 どうも我儘で、あの人のここが嫌いあそこが嫌、ほんとに頭が悪いんだから、せこいんだから、考えが足りないんだからなんて、そんなことばっかり思っちゃって、一日終わってベッドに入って灯かりを消したら反省しきりな毎日。しかし反省が今一生きない毎日。問題なのは反省をきちんと自分の中で噛み砕くだけの時間がないことというか、そういう毎日から充分に隔たった距離時間を確保できないこと。忙しい、というよりは慌しい、というよりは余裕がない。

 いつもいつも思うのだけれど、誰かが何かにすごくこだわる、こだわる傾向があるのだとしたら、大抵そのこだわる部分というのは、その人のコンプレックスに深く関係している。だから誰かが何かにすごくこだわっている時は、それがひどくくだらなくとも、馬鹿げてると思おうとも、静かに耳を傾けて相槌を打ってあげるべきなんだろう。だけどその明らかに透けて見えるコンプレックスを、隠そうとして隠し切れず、それでも無意味に取り繕い、取り繕いきれないくだらなさが見ていて嫌だ。嫌だと感じる我儘さ。反省。しかし生きない。それでも反省。回る回る。

いぼ帝国の滅亡

 ずーっとここに日記書いてないんだけど、ちょっとのぞいてみたら、「いぼ」って検索ワードできてる人がいまだに結構いる様子なので、一応書いておきます。
 我が子のいぼは治りました。一時、後から後からいぼができ、小さいのも含めると手に13個くらいのいぼができてしまって、ああもうどうなることかと思いましたけど、なんだか或る日急速にいぼ帝国の繁栄は滅亡を迎え、静かにいぼどもは絶滅してゆきました。もちろん皮膚科の治療(液体窒素シューってやつ)はさぼりさぼりながらも受けていましたが、治ってゆく時は、治療の力とはちょっと関係ない他の理由で治っていった、という感が非常に強かったです。人の体って不思議だな〜って思います。
 ということで、いぼができて困っちゃってる人、きっとそのうち治ります。

ひさしぶりなのだ

 ひさしぶりなのだ。と、この「ひさしぶりなのだ」は、バカボンのパパっぽく読んでください。そういう感じで読んでくれたら少しくらいは楽しめると思います。


 ここはもう書かないかな〜と思っていたのだけれど、人間不思議なもので、時々どこかに逃げたくなって、どうして逃げたくなるのかはよくはわからないのだけれど、きっとそれはなんか自分がだめなような気がするからだったり、こういう風に図らずもつくってしまった自分にあきるからで、ちょっと逃げたらめんどうくさい自分だけを残してなんか逃げ切れるかもとか甘い期待を抱くからで、でもまぁ結局は逃げ切れないし逃げるのも面倒だし、そもそもよく考えたら逃げる必要もないかって事に気づいて、そうしてひさしぶりなのだ。


      • こたつぶとんをかむっていねむるねこ

写真と文はあんまり関係はありません。