貧血

太るのは嫌だけどビールが大好きでどうしてもやめられないっていうのが目下の悩み。

「ふらふらしたりしませんか?動悸とか息切れとか」多少のふらふらにも、動悸にも息切れにもすっかり慣れちゃってて問診表にはきれいさっぱり健康状態問題なしみたいに書いておいたのだけれど、全部お見通し。医学ってすばらしい。
「貧血すすんでますよ。この数値は一応治療対象ですね。今はね、ちょっと痩せてらっしゃるようだけど、貧血を治せばもう少し栄養が取れて少しふっくらできますよ」なんて随分にこやかに優しげに諭すように血液検査の結果を説明する医者に曖昧な返事をしながら、「もう少しふっくらできますよ」なんて言われて「はい是非太りたいです」なんて応える女の人が一体この世の中にはどれっくらいいるんだろうって不思議に思う。痩せられるなら少しくらい貧血気味でもいいや、ってそんな考えの女の人ならごろごろいそうだけど。
会社に戻って「ねぇなに言われた?」って健康診断の話でひとしきり。「『眩暈動悸息切れ』って問診表に書いたら、今のその体重に負けないくらいの肺活量を身に着けることですね。貧血もないですし」って言われちゃったって笑ってる少し太り気味の女の子を見て、ああこの人って日常的に健康なんだなって思う。

「あのねぇ、あんたは少しくらいの体の不調は根性で乗り切っちゃうけど、普通の人にはそういうことはできないんだからね。他の人のことを何だこんなくらいで休みやがってなんて思ってちゃだめだよ。根性で乗り切れるのはあんたくらい。あんたは体力もないくせに根性だけはあるから始末が悪いんだよ」趣味が占いの整体師に散々説教されたのを思い出す。確かにね。根性もあります。だけど根性は半分。あと半分はただ単に鈍いだけ。なんだかどこかアンバランスに鈍い。