2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

最近一番のサプライズ

玄関先のもちの木の実がいつの間にか色づき始めていた。固そうな緑に結ばれていた房状の実の群れたちは、木の上のほうから順番に秋の色を帯び始め微かなオレンジの色に、それから低くなるほど黄色に、無言のままお行儀良く神様の持っているカラースケールに…

先週でんぐり返って出て行った

あの子のために何かを信じようとするのだけれど信じるということは意外に難しく不安定な場所でずっとバランスを保って待ち続けなければならないような感じ。まるで苦行僧みたいだったり殉教者みたいだったり。それともサーカスの玉乗りみたいかもしれない。…

ちょっと遠くて嘘っぽい

簾をはずしてそれから部屋にホットカーペットを敷いた。それとはなしに整える冬支度。リスが文句を言う。言うかも言わないかも。 もうすぐ冬が来る。冬の空を見るといつも幸せのことを考える。冬の空はなんだか幸せのことを思い出させるのにぴったりなくらい…

彼女の飛行機

出かけるために早めの晩御飯を食べながらふと思い出して時計をちらっと見る。5時35分。彼女の乗った飛行機はもう20分も前に空へ飛んでいった。 空港で足止めを食っている間に交わした何通かのメールを思い出しながら、こうしてわたしたちはもう何年もの…

さぁ何にもなくなる

横断歩道で信号を待ちながら空を見上げたら飛行機が西の空に向かって飛んでた。先に飛んでった飛行機の残した、もぞもぞと形の崩れて太ったジェット雲の横を定規で引いてるみたいにまっすぐ飛行機が飛んでくから、なんだかそれがすごくきれいで馬鹿みたいに…

芋虫の

芋虫の体の中みたいに濃度の高いねっとりとした思考が頭の中を支配してるからなんだか、のたくらとしか動けない。それは少しだけ官能的ですごく感覚的に過ぎるみたいでひとにはうまく説明できないことなんだけど、どっちにしたってそんな個人的なこと説明す…

しみったれ

しみったれた雨降りのおかげで街路樹から街路樹に渡されたスポンサーの名前の入ったお祭りの提灯もすっかり台無し。所在なさげに舗道の上に置き去りにされてた。でもわたしだっておんなじ。今日のわたしは60%が水分とあとの40%は心配事が詰まってでき…