2004-01-01から1年間の記事一覧

モータウン

半信半疑だけどどうやらクリスマス。さてと、ところでクリスマスってなんだっけ?街中にあふれてるケータイショップのおねえさんサンタやらピザ屋のバイクにまたがったサンタを捕まえて聞いてみたくなるくらい、さてクリスマスって何だっけ。 とりあえずクリ…

プレゼント

上司から焼酎をもらう。クリスマス用の素敵な飾り菓子をもらう。バッグ、香水、チョコレートの詰め合わせ、ジュースの詰め合わせ。24日にはクリスマスケーキもくれるらしい。自分に届いた必要がないものをよくわたしに持って行っていいよって言う。わぁ、…

安上がり

「ねぇ炊き込みご飯作って」ってあの子が言うからありあわせの材料で炊き込みご飯を作る。懸命に食べてるあの子の姿がかわいらしくてなんか幸せだと思う。幸せは、だしと醤油のにおいがする。 100円ショップに色画用紙を買いに行く。レジでわたしの前に立…

肩の写真を撮る。ただの肩。それから部屋の明り。 冬の気配がする。爪先立ちに忍び寄る。 タートルネックのセーターに首をすくめて鼻をくんくんさせて。毛糸ごしに息を吸い込んだら切ない空気で胸がいっぱいになった。何かが希薄です。くるりとうずくまる。…

優しいそぶり

隣の席の男の人がつけてる香水の香りがちょっとセクシャルでキーボードをたたきながらも妄想しそうになる。セクシャルなのは香水の香りなのかそれともつけてる人なのかそれを考えはじめると困ったことになりそうだから気づかない振りしておく。 会議室に飾ら…

湯気

呼び出しのブザー音がぴぴぴぴってなるからそうしたらわたしお日様でふかふかになったバスタオルをひろげてあの子をお迎えに行かないと。綺麗に茹で上がったあの子の体をバスタオルで包む振りしてこっそりこの両腕のなかに包み込む。あの子の体からふんわり…

ツリー

クローゼットの奥から細長い箱を引きずり出して埃をはらって中から一年ぶりにツリーを取り出す。それをあの子が飾り付ける。1箇所にすべての飾りの90%をまとめてくくりつけてる。とても下手くそでひどいけどそれでもあの子は夢中だしそれにとても嬉しそう…

全部赤かった

帰りの車の中でそっと頭をなでて改めて「お誕生日おめでとう」って少し他人行儀に言う。そうするとあの子がまじめに「うん」なんて返事をするから妙に感心してしまう。「ねぇ、生まれてきたときのことまだ覚えてる?」「ううん」「もう忘れた?」「うん」「…

幸せの絶対数

くしゃくしゃの真っ黒に燃え尽きた紙きれがポンと軽い合図の後ふわりふわり天井まで上っていってそれでわたしは少し悲しくなったのだけれど最初からそれがゴールと決まっていたのだから仕方がない。 そうしてその日を境に確実に何かが変化し始める。冷たい冬…

Opportunist

誰も悪くない。それが一番切ない。時代劇みたいにいつも上州屋さんが悪いって決まってれば世の中はいつでもハッピーエンドなのに。誰の言い分にだって耳を傾けて見るだけの価値があって、いくらかの正義も真実もある。 朝ブラックコーヒーが飲めない日は体調…

最近一番のサプライズ

玄関先のもちの木の実がいつの間にか色づき始めていた。固そうな緑に結ばれていた房状の実の群れたちは、木の上のほうから順番に秋の色を帯び始め微かなオレンジの色に、それから低くなるほど黄色に、無言のままお行儀良く神様の持っているカラースケールに…

先週でんぐり返って出て行った

あの子のために何かを信じようとするのだけれど信じるということは意外に難しく不安定な場所でずっとバランスを保って待ち続けなければならないような感じ。まるで苦行僧みたいだったり殉教者みたいだったり。それともサーカスの玉乗りみたいかもしれない。…

ちょっと遠くて嘘っぽい

簾をはずしてそれから部屋にホットカーペットを敷いた。それとはなしに整える冬支度。リスが文句を言う。言うかも言わないかも。 もうすぐ冬が来る。冬の空を見るといつも幸せのことを考える。冬の空はなんだか幸せのことを思い出させるのにぴったりなくらい…

彼女の飛行機

出かけるために早めの晩御飯を食べながらふと思い出して時計をちらっと見る。5時35分。彼女の乗った飛行機はもう20分も前に空へ飛んでいった。 空港で足止めを食っている間に交わした何通かのメールを思い出しながら、こうしてわたしたちはもう何年もの…

さぁ何にもなくなる

横断歩道で信号を待ちながら空を見上げたら飛行機が西の空に向かって飛んでた。先に飛んでった飛行機の残した、もぞもぞと形の崩れて太ったジェット雲の横を定規で引いてるみたいにまっすぐ飛行機が飛んでくから、なんだかそれがすごくきれいで馬鹿みたいに…

芋虫の

芋虫の体の中みたいに濃度の高いねっとりとした思考が頭の中を支配してるからなんだか、のたくらとしか動けない。それは少しだけ官能的ですごく感覚的に過ぎるみたいでひとにはうまく説明できないことなんだけど、どっちにしたってそんな個人的なこと説明す…

しみったれ

しみったれた雨降りのおかげで街路樹から街路樹に渡されたスポンサーの名前の入ったお祭りの提灯もすっかり台無し。所在なさげに舗道の上に置き去りにされてた。でもわたしだっておんなじ。今日のわたしは60%が水分とあとの40%は心配事が詰まってでき…