それがわたしの鍛錬

 通用口を出ると世界はぐるりと球体で、高台のひらけた景色はここが地球の中心だって言わんばかりに風が吹きわたる。ブルーグレーの空には鼠に暮れた鰯雲の名残がずっと西のほうまで続いてて、尻尾のあたりだけ夕暮れに赤く焼けてた。
 だけどどんなにきれいな景色でも、流行りの写真なんて撮らないで、ひとりぼっちの心で胸にしまっておこうと思う。それがわたしの鍛錬。