Opportunist

　誰も悪くない。それが一番切ない。時代劇みたいにいつも上州屋さんが悪いって決まってれば世の中はいつでもハッピーエンドなのに。誰の言い分にだって耳を傾けて見るだけの価値があって、いくらかの正義も真実もある。

　朝ブラックコーヒーが飲めない日は体調最悪。おまけに今朝のめざまし占いったら「体調悪化でおろおろ・・・」なんて仕組んだみたいにタイムリー。風邪で痛む喉とけだるく重い体を引きずるようにキッチンにたつと牛乳をレンジで温め砂糖がやけに多めのミルクコーヒーをいっぱいつくる。おもむろにがらがら声の練習。それから念入りに喉の調子を整えて電話。一世一代のがらがら声で「すみませんお休みさせてください」これでＯＫ。後はゆっくり朝のミルクコーヒータイム。ベビーバスの中でガーゼで顔を拭かれた赤ちゃんみたいにぷうーと息をつく。

　ベイビーズ ブレス。
「カスミソウを少し入れてください」駅前の花屋さんで小さな花束を作ってもらう。カスミソウは本当に赤ちゃんの息みたい。口からぷぅっと出てきた息がそのまま石灰化して真っ白な花になったんじゃないのかな。だからいつまでも枯れないでいて。小指がまだどこかに繋がっているんじゃないかなって思いながらコーヒーカップの持ち手から離してみる。別に気取ってるわけじゃない。

　少し横になろうかな。