幸せの絶対数

yeup2004-11-10

 くしゃくしゃの真っ黒に燃え尽きた紙きれがポンと軽い合図の後ふわりふわり天井まで上っていってそれでわたしは少し悲しくなったのだけれど最初からそれがゴールと決まっていたのだから仕方がない。
 そうしてその日を境に確実に何かが変化し始める。冷たい冬にようやくほころびがはいったように。あるものは目に見えるほど急激にはっきりと。また別のものは慎重な1歩一歩を踏みしめるかのようにゆっくりと。

 結局のところ、だれだって自分ひとりきり自分だけの力で生きているわけじゃなかったんだ。色々なものから赦されて生きてきていたんだ。今頃気づく。随分長い間傲慢に自分だけを信じ込んできてしまったことが少し恥ずかしい。いえ、少しじゃなくてすごく恥ずかしい。だから罪滅ぼしにお祈りする。
 「どうか神様、お願いです。赦されて生きていく人だけが幸せでいられるのではなく、赦してくれた誰かさんのほうがもっともっとうんとずっと幸せになれますように。もしも幸せの絶対数が決まってて、それをみんながシーソーみたいに奪い合わなきゃならないのなら、まだ使ってないこの先のわたしの分の幸せをどうぞお使いください。」
 
 この世界のどこかで、誰かが、きっと今幸せでいますように。