湯気

yeup2004-11-23

 呼び出しのブザー音がぴぴぴぴってなるからそうしたらわたしお日様でふかふかになったバスタオルをひろげてあの子をお迎えに行かないと。綺麗に茹で上がったあの子の体をバスタオルで包む振りしてこっそりこの両腕のなかに包み込む。あの子の体からふんわり湯気が立ち上りそれからほんのり桜の香り。綺麗になったねほかほかだねって言いながら何もかもをタオルの中にくるみこむ。あの子から立ち上る湯気ひとつだって逃さずに。だってその湯気は幸せの化けた水蒸気なんだから。そうして目を見合わせてくすぐったさにくすくす笑う。