意地悪

 DS Lightを買った。誕生日でも何か約束を守れたご褒美でもなくただ「買って」とねだられ、ねだられたその翌日に、マリオと抱き合わせ販売をしている店を探し出し昼休みに大急ぎで車を駆り買いに走った。つくづく甘い、甘い甘い甘い。そう思いつつ、それでも買ってしまった。にっこり笑って「ありがとう」って言う顔を想像して、それだけでもういいやってそう思った。ソファの上に放り出されたシルバーのゲームボーイアドバンスSPが寂しげに鈍い光を放ちこっちを見てた。見てたような気がした。気の滅入るような雨降り。

 太ったムーミンみたいな体系の気の利かない仕事のできないおばさんと、厚化粧で顔だけは綺麗だけど、いのししみたいに堅肥りのガタイのいい自信満々の女の子と、ひょろひょろ痩せた30台半ばの、人の顔色を伺ってはころころ態度を変える卑怯で自慢したがりやの賢ぶりたがる女の3人がおしゃべりをしてて、それを遠くに聞きながら、どうして人間って少し離れた気持ちで観察すると、誰も彼もまるで馬鹿みたいに見えてしまうんだろうって不思議に思った。馬鹿みたい。そう思ってる自分も。わたしってきっと意地悪なんだ。いまさらみたいにそう思う。意地悪なんだ。