正午少し前のブラックホール

 ブラックホールを抱えてしまったみたいにおなかがペコペコに空いて早めのお昼ご飯。いかの足を引っ張ってワタをとってそれからあの子のリクエストどおり小さ目の正方形に切ってお刺身に。レタスと大根をごま油と酢で適当なサラダめいた食べ物にでっちあげ、それから安物の海苔にごま油と塩で味をつけ火で炙ってぱりぱりに。少し歯ごたえがありすぎのイカの足を細かく切ってオクラと千切り大根でつくった味噌汁に少しだけキムチを入れる。冷蔵庫の片隅でラップを被って肩身の狭そうな顔をしてた残り物のひじきと豆の煮物をレンジで温めて。
 「昨日ほそきかずこがテレビでこういうの作ってたんだよ。海苔で巻いて食べたらすごく美味しいって言ってたよ」そういいながら海苔にサラダとイカとキムチをくるんと包んであの子に渡す。野菜嫌いのあの子は見向きもしない。おいしいのにな。「イカの刺身と海苔ご飯ばっかじゃ栄養が偏るよ野菜も食べなきゃ」いつの間にこういうこと言う側になってたのかな。いかにもお母さんな自分にちょっと笑う。