彼女の飛行機
出かけるために早めの晩御飯を食べながらふと思い出して時計をちらっと見る。5時35分。彼女の乗った飛行機はもう20分も前に空へ飛んでいった。
空港で足止めを食っている間に交わした何通かのメールを思い出しながら、こうしてわたしたちはもう何年もの間友達でい続けているのだなと不思議に思う。その不思議さはなんだか洞穴の中で見つけた優しくオレンジ色に燃える蝋燭の炎のようで。
「こっちの空も晴れてきたよ。帰ってきたら今度こそあのお店の鳥鍋を食べに行こうね」
「行ってらっしゃい。気をつけて」
気をつけて・・・「Take It Easy」って打とうかなってちょっと思ったけど、やっぱ気障だなって思ってやめておいた。いってらっしゃい。気をつけて。