安上がり

「ねぇ炊き込みご飯作って」ってあの子が言うからありあわせの材料で炊き込みご飯を作る。懸命に食べてるあの子の姿がかわいらしくてなんか幸せだと思う。幸せは、だしと醤油のにおいがする。

 100円ショップに色画用紙を買いに行く。レジでわたしの前に立っていた派手な感じの女の人。金色の髪にショートコートより短いスカート。黒いブーツからすらりとした細い綺麗な足が伸びていて。顔は見られなかったけど多分このあたりにいくつかちらほらあるお酒を飲むお店で働いているフィリピン人なんだと思う。籠の中にはいくつかの日用雑貨に混じってクマのプーさんの絵が描かれた樹脂製の子供用お茶碗がひとつころんと転がってた。きっと彼女が部屋の鍵を開け入っていくと、そこにはそのお茶碗を使うのにちょうどいいくらいの小さな手をしたかわいい誰かが、彼女の帰りをにこにこと迎えてくれるんだろう。きっとその部屋の中は明るく暖かいに違いない。一人でそんなことを考えてそれで幸せになる。安上がりな日曜の宵。