マザー

 あの子と約束していた「マザー1+2」をトイザラスで買う。ゲームソフトをレシートと引き換えに渡してくれる係りのお兄さんがあの子の頭の上を飛び越してわたしの顔を見ながら「こちらでよろしいですね」と確認をするのが少し残念。昨日のピザの配達のお兄さんは張り切って応対に出たあの子に「熱いから気をつけてね」と言いながらそっとピザを手渡し、それから上手にレシートとお釣りをピザの箱をささげ持つあの子の手の親指と箱の間に挟みこんでくれた。「遅くなってごめんね」それから最後にわたしのほうを見て「遅くなってすみませんでした」と会釈をしながら言った。一人前に扱われることがとても誇らしげな最近のあの子。いつまでもクッションみたいにこの腕であの子をくるんでいるわけにもいかないみたい。少しため息が出ちゃいそう。
 マザーを懸命にしてるあの子に「ねぇ、何かおやつ食べる?」って訊いたら「ううん、おかあさんと二人でいっしょにマザーをやるのが夢だったの。ここで見てて」だって。随分意味不明の夢を持っていたんだなと感心しながらあの子の隣に。マザー2の主人公は小さかったときのあの子になんだかよく似てる。ずっとそう思ってた。同じように赤い野球帽をよくかぶってたね。お腹が空いたらいつでも帰ってきてね。回復のらーめん食べさせてあげる。