腹八分目という上品さ

今年はたくさん咲いた

 なんかちょっときもーち太ったような気がするのでダイエット、というほどでもないけど本能にまかせきって食べまくるのをなんとか控える努力をしようと思い、そういうふうに人に話すと決まって「なんでぇ〜全然いいじゃない。どこが?それ以上痩せてどうするの?」なんて言われてしまい、まるでなんだかわたしが向上心を持ち、ふがふが食べまくるのをやめ規則正しい胃を尊んだ生活をおくろうとしているのが罪悪みたいな感じになってしまってう〜んなんだかなぁ、と思う。
 そういうときにあけすけ正直に「うんそれは確かにあなたの基準から言ったらわたしは痩せているのかも知れないけれどわたしはわたしなりの基準で考えているのであって、たとえばわたしにとってここのこのお肉は許せないしここのこのお肉はもう目を覆いたくなるほど酷いもので、もちろんモデルのようなすばらしいスタイルになりたいなんて無謀な望みは抱いていないけれども、自分のもてる可能性の中で少しでもよい状態を目指したいというのがわたしの本意なのです」とかなんとか言えたらいいのだけれど、この場合とくに前半の『あなたの基準から言ったら』という部分などは相手の静かな怒りを買う可能性が大なのでちょっと言えない。
 わたしは太るのが嫌いなのだけれどそれはただ単に見かけだけの問題ではなく、自分の食物摂取の仕方というものにどうも昔から警戒心を抱いており、それはなぜかというと食物摂取のありようというのはわたしの場合往々にして精神状態をあきらかに映しだす鏡のようなものに違いないとそう感じているからなのだけれど。どうでしょう。そうでしょう?大丈夫、これはただの修辞疑問文です
 そんなこんなでわたしは腹八分目という夢のような上品な貴族的な技を体得している人を尊敬してやみません。