金の無心

 先月のあまりのハードワークで体調を崩したことが許せない。許せないって言っても自分が許せないんじゃない。忙しすぎが許せない。そこで出張来客打ち合わせでほとんど席にいない上司あてにメールに文書を添付して昇給の要求をばばばんと送信。来週も前半は出張予定でまだ直接顔を合わせる機会はしばらく先だけど、今度あったら要求が通るにしろ通らないにしろ「いつかわたしが有名な作家だとか詩人だとか俳人だとか悪人だとかになった時、「昔まだ彼女が無名だった時、金を無心するためにおくってきた電子文書」とかなんとか言って、価値が出るかもしれませんから大事に保存していてください」って言ってやろうとそう心に決める。見かけと裏腹にあんまりにあっけらかんとあけすけに言いにくいことをずけずけ言うあなたは天晴れ。そう言ってみんながけらけら笑う。