薄闇

 暮れかかる薄闇の粒子の一つ一つがこの世界の光の側にはりつき残ろうとあがくすべてを溶解し地べたの亀裂の深く深くに押し隠してきた静かな闇の重圧の下に消し去ろうとするからいっそこのまま気づかぬうちにわたしとあの子の細胞の最後のひとかけらまで体中の水分の最後の一滴まですべてが薄闇の中に溶け込んで消えてしまえばいい。それは意外に心地がいいのかもしれない。