ざぁます戦記

 父方の性質を受けついたおかげで妙に気位ばかり高くていけない、と母が言う。そんなことわざわざ言われなくったってわかっています。いますいます、ということでわたくしの朝は誇り高き埃との戦いで始まりまするのだ。なぜ まする のか?という疑問にお答えするならば、わたくしの生活しまするこの家は滅多矢鱈と日当たりがよく、特に冬の朝のさんさんとした低くて黄ばんだ朝陽などは通常では考えがたいほど家主の案内も待たず、ずうずうしくも部屋の奥深くまで差込みやがり「ほらほらここに埃がこんなにありますよ、ここにもそこにもかしこにもあらあらかしこ」とかなんとか女性かどうかもさだかでないくせに、あらあらかしことか言って上品ぶりやがるのだ。ちぇっ。口惜しいからこちらも負けずに「ざぁます」などと呟いてやるのだけれども、ざあますざあますと一千回呟こうと埃が消えぬのは事実であり、ずうずうしい朝陽がすすすと徐々に退散してゆく昼過ぎになろうとも一度見てしまったあの埃の生々しい記憶は癒えることなく。そしてわたし、もといわたくしは今日も誇り高き埃と雄雄しく女々しくざぁますざぁますと呟きながら戦うのであった。

  こんなん欲しいです。